最終話・ラビット、千葉を捨てる

[前回までのあらすじ]
 ラビの内定先を聞くために居酒屋に入った二人。
 はたしてラビの就職先とはいったい…。
 ついにラストを迎えることになったラビット物語!
 怒涛の最終回を見よ!!

最終話「ラビット、千葉を捨てる」

「とりあえず、ラビの就職活動の歴史を振り返ってみようぜ」
「ああ、構わんが、随分と説明口調なしゃべり方をするねぇ、海ちゃん」
「まぁまぁ気にすんなって」
 ごまかしつつも、海ちゃんは話を続けた。
「ではここで説明の天才、海ちゃんが順を追って聞くから、イエスかノーで答えてくれ」
「はいはい」
 ビールを飲みながらラビは答えた。
「結果としては、ヨドバシカメラ、読売新聞販売、商社の三つから内定をもらったと」
「そうだね」
「中盤戦から後半にかけてはやる気がないのによく内定をもらえたなと自分でも思ってるだろ?」
「何がいいたい!」
「まぁまぁ最後まで聞けって、ラビ。読売までの話しは聞いていたが、結局就職先として決めた商社に関してのいきさつは?」
「もとは就職課から話しがきて、学校推薦という形で受けたのさ」
「へぇ、学校推薦かぁ」
「就職課の人とは知り合いだからね。といっても玉ちゃん繋がりだけどさ」
「なるほどね。でも、学校推薦だからといっても100%受かるわけではないでしょ?」
「う~ん、俺の時は5人しか受けてなかったからなぁ。そんでもって受かったのは俺を含め3人だったよ」
「随分と倍率が低いな。今までの中では一番規模が小さい企業じゃないのか?」
「まぁね。でも希望の札幌勤務になるし、というか札幌にしかないから」
「そういえば札幌に勤務したいと言ってたな、ラビは。でもどんな事をするんだ?」
「オフィス用品の販売をする所だよ。俺の場合は総合職らしく、一通りやらされるみたいだよ。まぁ基本は営業みたいだけどね。それに社員は50人位しかいないみたいだし。来年になったら研修も兼ねたアルバイトをやらされるようなのさ」
「へぇ~大変だな。まぁ僕も企業からの課題があるぜ」
 二人は一時休憩し、目の前にある料理を食べ始めた。
「ふ~食ったなぁ、ラビ」
「おう、俺も腹いっぱいになったよ」
「でもラビも札幌に骨を埋める事になった訳だ」
「それは海ちゃんも同じだろ?」
「ちっちっち、僕は札幌に骨を埋める気も無きにしもあらずだが、地方で終わるつもりはないよ。どうせなら我がパンをもう一度全国展開させるのさ!」
「夢はでかいねぇ海ちゃんは」
「ラビも頑張れよ。玉ちゃんとはどうすんのさ?」
「ああ、卒業したら一緒に暮らすよ」
「何だ。今と変わらないじゃん」
「ちょっと違うのさ。今は確かに同棲しているけど、表向きにはお互いに部屋を借りて一人暮らししているでしょ?それがお互いの親に言って、正式に同棲しようというのさ」
「へぇなるほどね。今の部屋に住むのかい?」
「いや、お互いに仕事先が東西線だから、その沿線に住む事になるよ」
「ほうほう、西11丁目だったらみっつ君とご近所さんになる訳だ」
「そうなるねぇ」
「何はともあれ無事安定の道を歩む訳だ。ちなみにその商社での面接ってどんな事聞かれたのよ?」
「そうだなぁ。俺のほかに一人同じ大学の奴がいたんだけど、そいつだけには負けたくねぇって思ったね」
「ほう、そんなにアホな奴なの?」
「すげぇ慣れなれしくて、明らかに馬鹿っぽいんだよ。他にも綺麗な女の子が受けていたんだけど。どうやら落ちてしまったようなのさ。もう一人、太ったイマイチの子が合格していたけど」
「へぇ、やっぱり世の中顔じゃないんだな」
「うん、それに最初から社長面接だったんだけど、終わった後に、足にギブスしていた学生と会ってさ、階段下りるのがきつそうだったから肩を貸して
降りたのさ。そうしたらそれを社長に見られてしまってね」
「それが好印象に映ったんじゃない?」
「かもね。結果としてはそのギブスの学生も受かっていたし」
「ほう、さすが偽善者だな。この世渡り上手な奴め~」
「うるせー!」
「しかしあとはみっつ君だけだな」
「ああ、確かに。最近俺は会ってないんだけど、彼は公務員を目指しているんだっけ?」
「うん、そうみたいだよ。公務員は一筋縄ではいかないからねぇ」
「そうだなぁ。俺は諦めた人間だからな。そういえば飯田の奴も北海道警察とか受けてるみたいで、奴だったら警察なら受かるみたいな事を言ってたぞ」
「へぇ、彼がねぇ。まぁ何はともあれ何だかんだでみんなうまくいけばよいのだが」
「まぁな。お互い頑張ろうぜ、海ちゃん」
「おう!来年も社会人として頑張ろうぜ!」

[次回予告]
 これにてラビット物語(正伝)は終わりを迎えます。
 次回はラビット物語の「あとがき」と題して締めたいと思います。
 長らくのご愛読ありがとうございました。

次回 「ラビット物語~あとがき~」にご期待下さい!

※この物語は事実を元に構成されたノンフィクションです

原作 海ちゃん
制作協力 みっつ



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